そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

映画『秋刀魚の味』~5/3/2000・k156

 とある自主上映会で見た。小津安二郎監督の遺産で、昭和37年の作品である。当時の風俗がまず一番に楽しめる。あの頃とてもモダンだったであろう公団住宅での暮し。冷蔵庫を持つことはステータスだったようだ。戦争の影もまだ残っている。

 お話は、娘(岩下志麻)を嫁にやる父親(笠智衆)の気持にまとめられてゆく。テレビのホームドラマでのちに多用されるパターン。そこで注目すべきは、娘24歳で、結婚適齢限界と見なされていることである。平均寿命も今より短かっただろうから、そういうものかもしれない。

 新作が次々に封切られる中、古い映画を「現在の目」で見るということ。昔の作品を大事にしないような国で、本当に良い、新しいモノが作られるはずがない。映画もそりゃ商売に違いないけど、文化として尊重しているかどうか、この差は大きい。産業として成り立つには、やはり愛がなければ、と私は思う。

Then and Now : 大津キネマ倶楽部で、毎年春に自主上映会をやっています。小津安二郎シリーズの中の1本でした。
 益城町では、文化会館が自主事業で続けていますが、話題作に限らず、一定の観客が見込めるのは大変素晴らしいことだと思います。熊本日日新聞「私にも言わせて」不採用。