そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

『交通安全教育指導の手引き』~7/21/2001・k157

 熊本大学での総合講座がこの本のもとになっている。これほど充実した内容の実践的な教養教育が以前から行なわれていたことは、驚きであり、また誇らしくも思えた。

 自動車工学や法医学から見た交通安全、応急救護の実技などを学ぶことで、学生たちが卒業後、各方面で交通安全の指導者になることができれば、多少時間はかかるが、そのことが悲惨な事故を減らす確実な近道であるはずだという信念が、いたるところで読みとれる。

 残念なことに交通事故は、技術的な未熟さより、精神的(人格的とも言える)弱さから引き起こされやすい。それを知ることが大事なのだが、規制緩和の名の下に免許更新の期間は延長、簡略化され、交通安全への取り組みはスローガンと取締りに集約されていく。

 いのちを大切にすることや自分をコントロールすることは、ここでも教育の根本に変わりないことを多くの人に知ってほしい。

    『交通安全教育指導の手引き』
        恒成茂行編  勁草書房刊 3000円
     
Then and Now :平成13年8月5日付 熊本日日新聞「私の3つ星」掲載。私たちの生活経済は、物流の上に成り立っている。販売価格を下げるためには、輸送経費を低く抑えることも必要だが、それは過積載や過重労働につながりやすい。快適な生活は、そういう土台の上に成り立っていることを忘れてはいけない。交通事故で、全人口の半分の人が亡くなることはないけれど、あなたの大切なひとが犠牲者のひとりにならないとも限りません。