そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

映画『ロック・スター』~10?/?/2001・k255

 別に悲劇ってわけでもないのに見ているうちに、なんか泣けてくる。これがロックというやつの怖さなのだろう。一度取りつかれると、どんな道に進もうと、もう二度とその魔力から逃れられない。

 有名バンドのコピーばかりやって、それに満足していた主人公が、ひょんなことから、そのバンドのボーカルにスカウトされる。

 時は80年代、ヘビーメタルがビッグビジネスに成長した頃。その華麗でインモラルな舞台裏をさらりと描きながら、サクセスを一度は手に入れた青年が、真の愛と、自分が本当にやりたい音楽を求めて、栄光の座を捨てるというアメリカ芸能映画の様式を見事に踏襲している。

 それでもロックが好きなんだという中年諸氏。ほんと、身につまされて切なくなります。主人公の両親がヘビメタ・ファンだという設定もいいけど、マネージャー氏の存在感はもうリアルを超えて感動的ですらある。

Then and Now : 9.11の影響で、上映自粛になった作品が何本かあって、その代わりに陽の目を見た作品のうちの一本らしい。コンパクトなロック映画。アメリカ映画の貪欲さというか、『あの頃ペニーレインと』という作品が、70年代のロックシーンを描いていたので、それなら80年代で行くかっていう安易さが全編に満ちあふれているんだけど、それがまた面白い。
主人公の恋人が、彼と別れ、一念発起して起業するのが、スターバックスみたいなコーヒー・チェーンというのもアメリカ映画らしい関連付け。