熊本の人は、すぐに出身高校を聞きたがると言われる。この出身高校の話題を、何で初対面の人としなくてはいけないのか、変だ、どうでもいいことなんじゃないかと思う人もいるらしい。
確かに長い人生の中でのわずか3年間を過ごしただけなのだが、青春時代のことだから、密度が濃いと言えるのではないか。中にはろくな思い出がないという人もいるかもしれないから、懐かしく思い出せるというだけで幸せなことだと思う。
だから、先輩と聞けば、よろしくお願いしますとすがりつき、後輩と知り合えば、いつか君の手助けが出来るようになるために、私もがんばろうと決意を新たにする。
世代は違っても、みんなあのイチョウの樹の下を歩いたのかと思うと、やはり他人とは思えなくなってくる。私は相手の出身高校を訊ねることはしないが、自分から大津高校卒業であることを述べる。話のきっかけになることもあるし、そうでないときもある。
私の在学中には、校舎の東側に大きなポプラの木が、4~5本立っていて、夏の陽光にきらめく姿が印象的だったものだが、安全上の理由からか、切られてしまった。私にとっては最も美しい風景のひとつだったので、それを覚えている人と、その思いを共有出来たらいいなと願いながら、これを書きました。
Then and Now : 大津高校の同窓会名簿に寄せた文章。同様の投書を熊日に送ったこともある。これは、掲載されることが確実だったので、ちょっと読みにくいなあと反省。