そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「考えるヒット」を読んで・上~10?/?/1998・k283

 今どきの流行歌について行けない。どこがいいのかわからない。あんなワケのわからない歌じゃなくて、昔は良い曲があった等々。確かに「一理はあるよな」とは思うのだが、長い人生の中で俗に言う、ヒット曲に夢中になる年頃というのは、誰にとってもある一時期に過ぎないのではないか。

 そういう意味では近田春夫氏が今、「ヒット曲について考える」という週刊文春の連載を引き受けたのは、並の音楽ファンではなかったからであろう。もともとは、氏自身がミュージシャンでもあるので、サウンドについてはかなり専門的な言及がなされるのだが、わかった気になってしまうのは文章のノリの良さのせいだろうか。ただ、CDを聞きたくさせる有無を言わせぬ賛辞も多いが、何となく聞いた気にさせられる危険もあわせ持つところは弱みかもしれないが。

 たとえば自分の娘や息子の考えていることがわからないと、なかば腹立ちまぎれに嘆くお父さん。娘や息子の聞いているCDは誰の曲かを確認したら、この本の近田春夫氏の文章を読んでみて下さい。いや別にそこまでしなくてもただ無心に読むことによっても1998年の日本がどういう文化状況にあるのかが良くわかるはずです。