そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「感動」と村上春樹・下~10?/?/1996・k284

 そしてまったく個人的な話で恐縮ですが、私の長男が妻のお腹の中で、生命の進化を魚から鳥へとたどっていた頃、むさぼるように読書に明け暮れていた妻が、私より先に読み終えてしまって、結末をいじわるにも私に教示した小説が、この『ノルウェイの森』でした。

 話はここらで、次第に村上春樹からビートルズへと移っていくが、この『ノルウェイの森』という曲、サブタイトルが確か「そして鳥は飛んでった」というふうになっている。

 お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、昨年発表された化石の発掘保存みたいな、ビートルズの新曲のタイトルが「フリー・アズ・ア・バード」。因果は巡るというか、我ながら実に見事なこじつけである。

 ついでに一言付け加えさせてもらうなら、流行の先取りに敏感な私が断言する。おそらくこれから向こう1年の内に、図書館は最もトレンディーなスポットになるであろうことを。
 世紀末とは良くも悪しくもそういうものだと私は思う。

Then and Now:平成8年度、合志町図書館開館1周年を記念した作品募集に応募して、作品集に掲載されたものを、文節など少し手直しして、ここに掲載した。
泣ける自分に感動する症候群は、数年後世間に認められた。昨年は『世界の中心で、愛をさけぶ』が、小説・映画共に(おまけにテレビドラマも)大ヒットして、ひとつのトレンドが終焉に向かっていることを証明した。
当時は、臆面もなくこういう鼻持ちならない文章が書けたのだから、私も今より十分に青かったのだ。客観的に読むと、目のつけどころは結構鋭いと自分で思う。
図書館ブームは、最後の箱物として、近隣の町に立派な図書館が作られるという形で、多少は現実になった。そこには平成の大合併という陰の力が働いていたかもしれないが、長い目で見れば、いい機会だったと言えるようになるだろう。
この機会に付け加えるなら、私の永遠の図書館像は、資生堂のCM「ゆれるまなざし」に描かれている。少年役佐藤祐介君は、いま何をやってるんだろう。