そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「クルマがやさしくなるために」

 Then and Now : 平成9(1997)年3月16日付熊本日日新聞「私の三ツ星」掲載。
 ひょっとしたら、前にエントリーしてるかも…
 このゴールデンウィーク中に熊本県では、5人の方が交通事故で亡くなった。
 原因はいろいろだろうが、街頭の交通指導、パトカー、白バイ等、
 早朝より、本当にご苦労様です。おかげで渋滞してます。
 皮肉ではなくて、それで交通死亡事故が防げるのなら、どんどんやってください。
 そんな簡単に行かないことも県警では分かってるんだろうけど、ね。

     
          「クルマが優しくなるために」
        
          杉田 聡著 ちくま新書 680円

極論である。運転中の携帯電話使用は確かに危険だけれど、
視線移動を伴うカーナビはもっと危ない。
通過儀礼的な運転免許制度によって大量生産される素人により
歩行者に対する思いやりもなく運転されるクルマは
子どもの権利条約」を踏みにじる大人のエゴである。

またクルマ問題をエネルギー問題にすり替えてしまうエコロジストに対する苦言。
シートベルト着用や車両の安全性強化のために
歩行者がかえって危険な目に遭うようになるなど
クルマを利用する人々にとってほとんど反論の余地のない
見事な論理展開である。
子どもだけに限っても毎年、一般的な小学校の児童数に近い
600人という死者を出している「走る凶器」について
私たちはあらためて考えなければいけない。
交通安全運動の目標が、例年代わり映えしないから事故が減らないのだと
考えていた私は、問題の根本を既に取り違えていたらしい。

杉田 聡 / 筑摩書房(1996/10)
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