若いときは、いわゆる「ながら族」であっても、
勉強に支障なんかなかった。
聖徳太子には及ばないが、
二つ三つのことを同時にできないことはなかった。
ところが、歳を重ねると、
二つ以上のことがうるさくてしようがない。
そういうわけでもなかろうが、
最近、テレビドラマを見ていて、
劇伴がうるさく感じられる。
「ゲゲゲの女房」にしても、「てっぱん」にしても
「龍馬伝」はもちろんのこと、
言うまでもなく、民放の番組はさらに・・・
映像が、地デジ、ハイビジョンになって、
細かいところまで、やたら解像されるし、
音声ももちろんハイクオリティだ。
そして世の中、感動感激、泣けること至上主義の時代。
それに伴い、力まかせに激情を誘う怒涛の音楽。
劇伴(ドラマのバックグラウンド・オリジナル音楽)は、
さらにうるさく押しつけがましくなってきている。
これは、私個人の感想だろうか。
みんなそうとは意識されず、これでもかという
劇伴が、画面にあふれている。
嗚呼!
昨日、ロバート・マリガン監督、
音楽はミシェル・ルグランの
『おもいでの夏』を久しぶりに鑑賞した。
あの、この世のものとも思えぬ、
過ぎ去った夏のイメージそのもののテーマが
あるのにかかわらず、
音楽がまったくないシークエンスもあった。
劇伴があることで、
演出自体のうまいへたを乗り越えて、
なんとなく、感動を誘う。
そこを強調することで、
視聴率を稼ぐということだ。