そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

カーネーション

NHKの連続テレビドラマ「カーネーション」のヒロインが、
尾野真千子から、夏木マリに替わったことについては、
あまり評判がよろしくないようだ。
3月分の放送自体を蛇足と見る向きもある。
しかし私はそうは思わない。

ヒロイン糸子が時代に翻弄されながらも
女性として、服飾の道を切り開くとともに、
3人の娘は世界的なデザイナーに育っていった、
サクセス・ストーリーとして一般的には語られる。
しかし、私は前に書いたように、
そこに明らかに、いまの時代に反戦を語る、という
一本筋の通った姿勢を感じた。

また、戦後はヒロインの成功物語で終わると見せかけて、
実は彼女が
年老いていく過程を
特殊メイクまで使い、夏木マリに演じさせることで、
どんなに社会的に成功しても、老いは訪れること。
誰も老いからは免れることができない。
そのことをまた正面切って描こうとしているのだと思う。
主人公を通して、
老いを受け入れることを静かに物語る。

このドラマを見続けた人たちは、おそらく
歳を取るっていうのもなかなかいいものだと、
何となくそういう感じを抱きながら最終回を
見終わるのではないかと私は予測する。