読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

絶叫!パニック映画大全

上妻祥浩著、河出書房新社
『絶叫!パニック映画大全』

昔は、こういうマニアックな映画本がよく出版されていた。
昔とは、植草甚一さんがご存命の時代である。
売れていたのかどうか分からないが、
ロック系の音楽や映画に関する評論家の仕事は、
そこそこあったのではないかと思う。
いまは、ネット上に情報は氾濫しているし、
昔みたいな論ずべき映画がすっかり影をひそめた。
というか、私自身が映画を見ようと思わないことが
その原因の一つであるのだが。

昨年7月26日の熊日文化欄に、
熊本高専教授の古江研也さんの評が載っていて、
そこでは「名作の作劇方法を『グランドホテル形式』と指摘し、
人間のドラマとして評価している点に
具眼の士の力量を感じる」と高評価である。
しかし、ブームの源となった『大空港』は公開当時から、
この「グランドホテル形式」という解説が珍しくなかった。

つまり、それだけでも70年代は遠くなってしまったのだ。
70年代とは、終戦後25年ちょい過ぎぐらいの話である。
戦後70年、そりゃ年代ものである。

この本を読んで(図書館にあった。作者は熊本県人だから)、
久しぶりに映画『大空港』を見たら、
やっぱり人間ドラマとしてよくできていた。
オーソドックスなお話なのだが、
これをパニック映画として位置付けたことで、
それからしばらく続くそのブームの
火付け役となり得たのだろう。

いまの感覚では、ディーン・マーティンが、
飲み過ぎの女たらしにあまり見えないのは驚きだ。
また、ジャクリーン・ビセットは時空を超えて、
変らず魅力的だったので、胸がキュンとなった。
人には誰にでも最高の輝きのときがあるということだ。