THIS 今朝の熊日の「笑い命さざめく」という連載は、
小栗康平監督の『死の棘』に対する日米の観客の反応の違いについて、
笑いのツボという視点からの内容だった。
文中、観客の資質の違いが笑いを呼ぶという見方があり
「米国の観客は、表面的なストーリー中心のハリウッド映画に
慣れている。だから、作品が内面的になったりすると、
ついていけない」と語る。
そこで思い出したのが、いまNHKでやっているアメリカのドラマ
「THIS IS US 36歳、これから」のことだ。
複雑な人間関係、登場人物が抱える悩み、問題いろいろ。
アメリカのTVが得意とする人間ドラマだ。
これを日本にはない深く内面的なドラマだと感じていたので、
ちょっと待てよ、という気持ちになった。
これにアメリカ人はついていけるのか、と失礼なことを考えた。
だが「表面的なストーリー中心」というところから分析すると、
それは一見深いように見えながら、
家族関係と人物造形で目先を変えつつ、
ストーリーは複雑なようでいて、パタン化されていて、
整理してみると奇をてらっていると言えないこともない。
それに演技はみんなうまいが、
日本人の感覚では少々過剰ですらある。
だが、日本のテレビドラマのテイストに慣れている身には、
ちょっと毛色の変わった(これ、差別的言辞か)
目を離せないヒューマンドラマに思える。
それに気づかない方がよかったのかもしれないが、
それでもドラマを楽しむことはできるだろう。