そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「フライ、ダディ、フライ」

図書館の本の紹介 番外編
レヴォリューション№3」の著者 金城一紀氏の新作が2冊も同時に出た。その1冊について、あの重松清氏が、週刊現代今週号に紹介文を寄せている。
 この豪華な取り合わせに私は、個人的に感動してしまった。
それは、『フライ,ダディ,フライ』といって、往年のヒット曲「フライ・ロビン・フライ」か、ビートルズの「クライ・ベイビイ・クライ」をもじったものと思われるが、なんと主人公は、47歳の会社員なんですよ。笑っちゃいましたが、私はそれを読む前に福井晴敏の「終戦のローレライ」上下を読まなくてはいけないので、待っててくれ。
(2/6/2003)

 主人公は、47歳のサラリーマン。娘の受けた心の傷が癒されることを願い、復讐を誓う男。
 著者の前作「レボリューション№3」に登場した魅惑的な高校生たちが、今回は脇役に回り、中年男にケンカのやり方を教えるというお話。例のごとくひそかに周到な準備を整える、その気配りは心憎いばかり。
 なぜ、彼らが主人公に肩入れしたのか、彼らの動機は言うなら不純である。でも人間関係を壊したくないばかりに、本当に大切なものを逆に見失いがちな人たちには、その単純さがさわやかに感じられることだろう。
 「求道」という言葉が似合う修行の日々。本人が一所懸命な分、端から見れば痛々しいくらいに滑稽だ。だが損得抜きに打ち込むことによって、彼は人生を取り戻す。
 こんなマンガみたいな話、と打ち合わない人は多いと思う。寓話から何を引き出すかは、その人の想像力の問題だから致しかたない。
(3/9/2003)

       「フライ,ダディ,フライ
         金城一紀著 講談社刊  1180円
              
コメント:前者は、合志町の公式サイトの掲示板に書き込んだもの。後者は熊本日日新聞平成15年3月23日付「私の三つ星」に掲載された。