そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「ゴールデン・エイジ~映画 それぞれの黄金時代」

 映画は作品と観客が揃って成り立つ。見終わった後に映画について語ることは、映画という共有の体験を確認することでもある。
 見たことがない映画について読むこと(知ること)は、たとえて言えば、両親や祖父母、近所の叔父さんや、兄貴に昔話を聞くようなものかもしれない。この本は、園村さんと梶尾さんが、それぞれの映画体験を語り合う対談だが、基本的に熊本での公開時の印象や様子が中心になっているので、評判やヒット作というと全国レベルの話になってしまいがちな現在、タイトルには、情報としてもローカル色が生き生きしていた黄金時代という意味合いが込められているような気がする。
 索引、年表(系統図)も充実している。また、脚注掲載のチラシは熊本独自のものだけに、劇場という言葉すら消えてしまいそうなこの時代、広告欄も懐かしく、熊本の大衆文化の貴重な資料とも言えそうだ。

          「ゴールデン・エイジ
             ~映画 それぞれの黄金時代」
               園村昌弘・梶尾真治著 博文舎刊
                      1333円  
           (6/15/2003)

コメント:熊本日日新聞平成15年6月29日付「私の三つ星」に掲載。本当言うと、もう少し編集に工夫がほしかったけれど、時間的制約もあったでしょうから。