そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「ロックの英詞を読む」1/18/2004

 20年以上前のことだが、レコード会社のPR紙で著者の言葉に出合い、勇気づけられたことがある。日本のラジオはどうしようもない音楽ばかり流しているけれど、あきらめてはいけない。リスナーがきちんと面白くないと声を上げ続けなければ何も変わらない。確かそんな意見だった。

 雑誌に連載された文章をまとめたこの本は、英語を学ぶためにロックを利用しようというだけのものではない。かといってロックを歴史的に捉えることが主たる目的でもない。

 それを歌ったアーティストについての基礎知識はもちろんのこと、英語の「うた」に託された思いを日本語に解釈することを通して、その背景にある欧米の文化、人種・階級の壁、発表された時代状況などを解説する。

 売れなくては意味がない歌の文句に過ぎないのに、私情や恋だけじゃなく、社会に対する憤りや正義を問う熱情がある。歌の力で世界を変えることが出来ると信じる心がある。

      「ロックの英詞を読む」
          ピーター・バラカン
       集英社インターナショナル刊 1600円

Then and Now : 今日5月22日(土)、NHK-FMの音楽番組「ウィークエンド・サンシャイン」で、DJのバラカン氏が、私の文章について「ありがとう」と言ってくれた。平成16年4月25日付熊本日日新聞朝刊「私の三つ星」掲載。そのコピーを先週、番組宛に郵送した。多分ひとこと紹介してもらえると信じ、カセットも準備していた。
 この文章の冒頭に書いたように、私は氏の言葉に大いなる影響を受け、外に向けて自分の意思を表明することの大切さに目覚めた。レコード会社のPR紙というのは、私のホームタウンである大津町の商店街にあった「本田レコード店」(といっても電気屋の一角)でもらったもの。東京から戻ってきて、しばらくしてのことだったと思う。
 何でも大袈裟に書く傾向があることは自分でも承知の上で重ねて書くが、チラシみたいなフリーペーパーの、小さなコラムを読んだことで、人生変わることもあるのだ。事はラジオだけに終わらない。
 この本に出合えたのは、奥田英朗著「真夜中のマーチ」が痛快に面白いという書評を、週刊誌の立読みで読んだので、それを買ったら、新刊案内が挟み込んであり、多くのタイトルの中に本書を見つけたのだった。かようにして、本は発見(ディスカバー)される。