そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

シューティング・スターを撃つな~9?/?/1999

 村上春樹は小説の中で「35歳=人生の折返し点」説を唱えたことがある。その説に共感しながらも、やはり直線的に人生を送ってしまっている私だが、いわゆる「若者」でないことの有難さもよくわかる年になった。

 しかし、どうしても世間的に少し遠慮してしまうのが中年たる所以である。そんなとき神足氏がシリコンバレーを眺めて、自分たちの世代はもっと闘うべきだったと書いているのを読むと、その言葉が正直胸に突き刺さり、取り返しのつかない10数年を思うのである。

 そして底無しの後悔から立ち直るために、まだそんなに年を食ってるわけではないんだ、今からでも同じ中年のあこがれの的くらいにはなれるかもしれないと思ってみる。

 私が心に漠然と思い描いていたことのいくつかが活字になって、そこにあった。遅くはない、それにあせらなくても有意義に中年を生き抜き、老年を迎えることはそれほどむずかしいことではなさそうだ。

       神足裕司著『輝く中年の星になれ』講談社

Then and Now : 平成11年9月12日付熊本日日新聞「私の三つ星」掲載。これは、載らないんじゃないかと思っていた。だけど、中年男性として、これだけは言っておきたい、という思いは熱かった。結果的に紙面を飾ることが出来て、本望です。