そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

『アメリカかぶれの日本コンビニ・グルメ論』~6/17/2000

 日本人は断言されることを好む国民だ。という言いまわしが、おそらく私が典型的な日本人のひとりであることを端的に表しているだろう。

 最初は、コンビニと日本人の食生活に関する考察だろうと思っていたのだったが、6年間をニューヨークで過ごした著者のアメリカ礼賛はすさまじく、確かに「アメリカかぶれ」の一言で片づけてしまえるほどである。

 でもポップな装丁と文体から受ける印象以上に中身は濃い。さすがに年季の入ったグルマンである。食のみならず、衣・住・ビジネス・文化文明論にまで、領域は広がっていく。日本に生まれ育ち、日本の本当の良さを(ノスタルジックにだが)わかっているからこそ、つい辛口の批評になってしまったのだろう。

 ハードカバーではなく新書判で出るべき本だったと思う。また、過剰なくらい漢字にフリガナがついているのも著者の心配りだと素直に受けとめたい。

  『アメリカかぶれの日本コンビニ・グルメ論』           
               横川潤著 講談社刊 1400円

Then and Now : 平成12年7月2日付熊本日日新聞「私の三つ星」掲載。この文章が、採用されたときは驚いた。こんなんで、いいの?って感じ。この本は、合志町図書館に寄贈したように思う。