そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

事故ゼロへの限りなき挑戦~6/17/2001・k181

「交通渋滞による損失は年間12兆円」という試算を、国土交通省が発表した記事を本紙で読みました。道路特定財源が問題になっている時期なので、緊急に取りまとめたものでしょう。本来は、乗用車・トラック・バス等の車種による変数を加え、休日のレジャー車両の動きも考慮されなければ、車社会の経済性についての具体的な数値にはならないでしょう。

 とはいえ、社会的損失を金額で表すことの第一歩としては評価してよいと思います。今後は、環境省とも協力して、地球温暖化など環境への負荷も何とか数値化してもらいたいと思います。

 また、その少し前に損害保険協会が、交通事故による損失を約3兆5千億円と推計しているという記事もありました。その金額の中には、死亡による保険金の支払は含まれているのでしょうか。あるいは事故が原因の交通渋滞は、事故処理にかかる警察の経費は考慮されなくてよいのでしょうか。

 わかりやすい数字を前にして、私たちは何を考えなければならないのでしょう。
 渋滞ももとは1台1台の車です。事故は、運転者だけの責任とは言えないかもしれませんが、他人事ではないという認識を持ち、「事故ゼロへの限りなき挑戦」を続けるしかないのです。
 
Then and Now : 平成13年6月22日付熊本日日新聞「読者のひろば」掲載。言いたいことは伝わりましたでしょうか。疑問文が目立つのは、公表された数字の根拠が、新聞記事の中からは窺えないからです。素人の私が細かいことを言わなくても、計測可能な数値は計算に入っているんでしょうが、わかりやすい数字だけでわかったような気になることへの警戒を書いたつもりです。
私の書く文にはよくあるパターンですが、出だしと結びが微妙に違うテーマになっているサンプルです。「事故ゼロへの限りなき挑戦」は、さるタクシー会社の後部バンパーに貼られていたステッカー。本気で張ったキャンペーンだったかどうか。自社だけのスローガンと考えた方がよかっただろう。