この本は「公立中学をどう変えていったら日本の教育はよみがえるのか?」をテーマに、櫻井よしこさんを始め、中学校の校長、教頭、大学教授らと共に教育改革についての問題点を探り出そうとする試みです。
新学習指導要領に至る道のりを教育政策史の面から、参議院議員の鈴木寛氏が解説する章は勉強になったし、「教育を変えるには、教育をコミュニティに取りもどし、家庭や地域がその主体となる」ことの必要性。そのための具体的な方法の提案にも、21世紀の日本人が「大人」になることへの熱い思いが伝わってきました。
また理想を語ることに臆せず、制度改革を待たずともできることを実際のカリキュラムに組んで、要はやる気の問題だと言ってのける。教育関係者にとっては試金石となる本かもしれません。
ちょっと過激だけれど、ロマンあふれる実践的な教育論です。
『中学改造』藤原和博編・著
櫻井よしこ・苅谷剛彦・鈴木寛共著
小学館・1400円
Then and Now : 平成14年10月20日付熊本日日新聞「私の3つ星」掲載。実際に掲載された文章は、第2段の文章の前後を入れ替えて、ぐんと読みやすくなっていました。編集の妙です。ここでは、多少手直しをしましたが、原文に近い形で載せました。