そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

当り前が扇情的な世の中~2/11/2002・k246

 書名は、少しセンセーショナルすぎるかもしれない。しかし交通事故は「アクシデント」ではない。世の中の仕組みが、事故の発生を野放しにしてきた。著者は被害者の会の会員へのアンケートを通して「安全意識を持っていないドライバーが多く存在」し、「事故を起すべくして起している」という結論に達する。

 地方においては特に、車は生活必需品であると思われがちだが、“車は玩具”でもある。車のおかげで日本経済は発展してきた。しかし、道路整備の財源不足から、公共交通機関が見直されつつある。地球温暖化防止もまた、その動きに追い風になっている。

 車好きを自認する著者ですら、車を捨てることを真剣に考えざるを得なくなってきたと告白している。少なくとも運転免許が、安全運転を心がけることをいつまでも忘れない人にのみ、与えられる制度になりますように。

         『殺人ドライバー』
           沼澤章著 WAVE出版刊 1600円

Then and Now : 平成14年3月10日付熊本日日新聞「私の3つ星」掲載。これだけでは、よくわからないだろうが、車と運転者をめぐる状況は年々悪くなっている。無自覚な人が多いと思わざるを得ない。
実社会で、車を運転するということは、映画のカー・アクションを追体験することとは違う。