そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

そして地球は廻り続ける。

 下通にあるマツモトレコードが閉店するという。高校生のとき、URCレコードを置いていたのは、そこだけだったので、はっぴいえんどの『風街ろまん』を買ったのも確か、マツレコです。同時にエレック・レコードのよしだたくろう『人間なんて』も買いました。1972年1月のこと。
 当時レコード店といえば、北のマツモト、南のマツフジの時代。そのマツモト・レコードの店員さんのユニフォームは、県庁職員みたいな事務服。ある日、ジャケット早めくりで、新譜をチェックしていると、とあるおじさんが「蓄音機の竹針は、なかですか?」と店員さんに聞いていた。
 すると、その店員さん冷たく「ありません」と言い放った。肩を落として帰っていくおじさんにかける言葉を、私は持たなかった。
 そのとき私は、未来を予見したのだ。
 ダイアモンドのレコード針も、いずれはこの蓄音機の竹針と同じ運命を辿ることだろう。そのとき、私はあのおじさんと同じように肩を落として帰るのだろうか、と。