そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

『早く家へ帰りたい』

 きょうは、ちょっと時間が空いたので、おおづ図書館に寄った。本棚の間を歩いていたら、なんとなく詩集のコーナーに。そして、久しぶりにこの本に出合った。

 難病を抱えて生まれた息子を亡くした哀しみは、そう簡単に癒えるものではないだろう。でもこんなに透明で静かな詩集が残された。
 初めてこの詩集を読んだとき、自分の息子がもし、いなくなったらという思いに打ちひしがれて、私の涙は止まらなかった。あれから、もう10年ほどが過ぎて、憎たらしげに育った息子。あの頃の、無私無欲の自分の思い出だけで、十分価値があるのだとしみじみ思う。 
 それは、親の勝手な思い込みに過ぎないのかもしれない。こどもは、自分なりに成長していく。きょう、この詩集の何篇かを読みながら、グッと来るものを感じながらも、曲がりなりにもでかくなった息子を持つ親としては、私自身もうこんな所まで来てしまったのかと、別の感慨を抱く。 
 時の流れを遡るときは、脚色なしにはいられない。 

 高階杞一さんのホームページはこちら。作品抄もあります。

高階 杞一 / 偕成社(1995/12)
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