そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

イエロー・サブマリン温度

 映画『イエロー・サブマリン』を見たのは、30年近く前で、フィルムの状態も音響もあまりよくなかったので、面白かったという記憶はない。でも、やっとノルマを果たした気はしたものだ。だって、私は歴史ある青山学院大学ビートルズ訳詩研究会の会員だったから。
 それから、ヴィデオになったら見ようとか、リニューアル公開時とか、そのたびごとに機を逸してきたので、今回この本を図書館で見つけたとき、ちょこっとでも今読んでおかないと、多分一生手に取ることもないだろうと、思い切ったのだ。そんな大それたことか? 
 今回初めて知ったのは、あのピーター・マックスが制作にまったく関わっていなかったこと。そのことについて、著者はあの時代に、ああいう雰囲気のアートが同時発生的に生まれる要素があったのだろうと書いている(言葉は違うけど、そういう意味のこと)。
 超多忙な上、メンバーがバラバラになりかけていたビートルズが、ユナイト映画との契約を履行する最後の手段として企画されたにもかかわらず、まったく新しいアニメーション映画を作ろうと奮起した200人の物語。アニメ史上、ひとつの奇跡だったのかもしれない。
 小学生のとき、新世界会館(当時。今はPARCOか)の壁にかかったイエローサブマリンの看板を、垂涎の思いで眺めていたアニメキッドは今何処、だなあ。