そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

「昭和の日」の小さな映画会>4/30/2007・k328

毎年4月29日に大津町のお寺で開かれる小さな映画会。
小津安二郎シリーズを10年続け、その後、山田洋次監督で6年目。
「上井手映画祭」としては、記念すべき通算30回目の今年選ばれた作品は、
昭和41年公開の『なつかしい風来坊』。
初めて見てもなぜか郷愁に誘われる、文字通り「なつかしい」コメディー映画だった。
主人公のハナ肇さんの風来坊ぶりは、
のちのフーテンの寅に通じるキャラクターでもあるが、
それに対する有島一郎さんの、厚生省とおぼしき役所の公務員との
絶妙のからみ合いには、今に失われた深い味わいがある。
昔の映画は、当時の日本人の生活ぶりを、多少大げさかもしれないが、
今に伝え、描かれた流行や風俗は貴重な記録だ。
21世紀の平成の感覚でなつかしむものとは違う、
まぎれもない現実がそこには残り、
その時代を抜きにして、今の時代があり得ないことを思い出させてくれる。
奇しくも今年から「昭和の日」となったこの日、
観客は常連さんを中心に約30名ほど。
広報に力を入れても集客には結びつかないことを、スタッフは悟っているが、
継続することに大きな意義のある映画会だと思う。

Then and Now : 熊日の読者のひろばに投稿。不採用。
団塊の世代について書いた文章が先に掲載されたので、
時期的にこちらがボツになったのは致し方ない。
なかなか記事で取り上げてもらえないので、
こういう形で、知ってもらえたら、と思って書いたのだが、
それでも観客は簡単には増えないだろう。