5月11日の本よみうり堂、
小泉(今日子)の書評は、
『かもめの日』
黒川創 著 新潮社刊
1600円
「私も今、少しだけ孤独を感じている。でもその孤独は慣れ親しんだ、すごく当たり前のもののような気もするのだ」
意味深長で、ファンとしてはちょっと胸を突かれる。
自信過剰な輩は、俺なら今日子の孤独を癒してやれると思うだろう。
しかしね、それはその人が背負った、
ある種の業みたいなものなのではなかろうか。
彼女の文章を読むと、ロバート・アルトマンが得意とした
群衆劇に近い作品のようだ。
本書を読んでいない私が、最初に思い浮かべたのは、
『パニック・イン・スタジアム』という映画の導入部だった。
昔のアメリカのアクション映画は、今と比べれば、
ずいぶん地味な映像だったが、
静かな悲しみを湛えているような作品が多かったと思う。
意識したわけではないが、村上春樹みたいな文章になりました。
そういう気分で、堪能してもらえれば、ぐっと来るかも。
自画自賛(笑)
そうそう、読売新聞では、たとえば、
「微かな」や「絆」や「繋がって」にルビをふってあった。
活字を大きくするだけではなく、体裁を保ちながら、
フリガナを配する心遣いがうれしいじゃないか。