そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

歌謡曲の時代>5/5/2009

『歌謡曲の時代―歌もよう人もよう』 阿久悠
新潮文庫刊 476円


昭和が終わり、平成の始まりと共に
謡曲は消えたとする俗説もあるらしいが、
著者が試みたのは、
昭和の時代に書いた詞のタイトルをエッセイの主題に選び、
20年後30年後の平成から、過去を振り返りつつ、
今の世の中を考えてみようというものだ。
歴史に学ぶとは、こういうことを指すのかもしれない。
現代史の教科書の副読本。あるいは自分史を書く際の参考書にもなる。
阿久悠さんが書いた文章自体が、
すでに回顧されるものになりつつあるけれど、
個人の感傷が、
時代を切り取るハサミにもなり得ることを教えてくれる一冊。
また、文庫本の解説は楽しみの一つ。
思えば、十代の頃なかなか買えなかったレコードは
解説まで何度もくり返し読んだものだ。
阿久悠さんの本に近田春夫さんが一文を寄せる。
謡曲好きにはたまらない趣向である。



Then and Now :熊日読書欄「私の三つ星」に投稿。不採用。
これを書くまでに実に2年の歳月が流れた。
そして、なかなか良い文章が書けた。自信作。
これが採用されなくて、他に・・・
まあ、毎週それなりに
バラエティに富んだ本が選ばれていますが。