加藤和彦は、文章を書く人ではなかった。
と言っても、若いときは、
雑誌Gutsには、エッセイを連載していた。
ヤマハの雑誌ライトミュージックにも。
デイヴィッド・ボウイーやフェイセズを知ったのも
彼のエッセイから(ボウイーを紹介したのは、代打ミカだった)。
加藤氏は読書家だったらしいが、
寝る前にミステリを読んだら、眠れなくなるので、
伊丹十三さんのエッセイとか読むと言っていたのを
ラジオで聞いて、
そして文春文庫の『女たちよ』を読んだ。
あれから、ほんとに本を読むようになった。
フォーク・クルセダーズ解散後、
本を執筆していると、加藤氏は雑誌に書いていたが、
実際に出版されたのか、
ついに書店で見かけることはなかった。
いろいろ検索していると、
スポーツ報知の記事。
なんか、今更ながら、つらくなる。
「一生懸命音楽をやってきたが、
音楽そのものが世の中に必要なものなのか、
自分がやってきたことが本当に必要なのか疑問を感じた。
もう生きていたくない。
これ以上探さないで、詮索しないでほしい。私は消えゆくだけ」
ビートたけしが、ニュースショーで言ってた、
「ふっと、(気が)抜けるときがある」
怖いけれど、的を射た一言だったのも、
やはりアーティストとして、相通じるところがあるんだろう。