そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

チャリンの心

雑誌Switch12月号の小泉今日子「原宿百景」は、
「チャリン、チャリン、チャリン」である。

「である」と偉そうに書くことはないが、
つまり、まだデビューどころか、
小泉が、普通の女の子(おまけに内気な)だったころ、
まだお父さんも一緒に住んでいて、
電話や、家電の新製品が、次々に
小泉家に備わって行ったあのころの思い出話。

そういうのを、ちょっとセンチに語らせたら、
小泉の右に出る人は、あまりいない。

テレフォン歌謡曲という
電話で聞けるサービスがあったらしい。
うん。確かにそういうのがあったような。
それを使って、Kyon2は、
石野真子の曲を聴いていた。
曲の初めには、本人の挨拶が入っている。

こっそり聴いていたのが、父にばれ、
永谷園のお茶漬けの缶に
30円を入れなくちゃならなくなったのだと。

その音が、「チャリン、チャリン、チャリン」なのだ。

それで思い出したのは、
はっぴいえんどの「夏なんです」のこと。

詞を書いた松本隆が、
バスに料金の小銭を入れたとき、
同じように「チャリン、チャリン」と音がした。
と、同時に「夏なんです」の一節となる
「日傘くるくる ぼくは退屈」というのが、
思い浮かんだという。

で、小泉はオーディションで、石野真子の曲を歌い、
見事優勝、スターへの道を歩き始める。
そして、自分も同じように
テレフォン歌謡曲の挨拶の文句を録音する。
かいつまんで書くとそれだけだが、
なかなか向田邦子さんみたいな文章なのだ。






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