9月15日の熊日に、京大大学院教授 佐伯啓思さんが
「領土問題が示す事実とは?」というテーマで、
つまり第2次大戦の戦争処理はまだ終わっていないから、
国境紛争、領土紛争の火種が絶えないと書く。
他所の話ではなく、日本のことです。
国境線を画定するには、
最終的に軍事力という「力」が
陰に陽に必要とされるのである。
国際法や国際的なルールの背景には軍事的な「力」がある。
こうした「やっかいな」事実から、
戦後のわれわれはあまりに目をそむけてきたのではないだろうか。
平和主義という理想や美名のもとに、
国境線を守るためには「力」がなければならないという
しごく当然の事実から目をそむけてきたように思われる。
多少の紛争の可能性を内包しているとすれば、
国境線を守るためには、
それを具体的に行使するか否かは別として、
常に、潜在的な「力」を確保しておかねばならない。
それが、「国民の生命、財産をまもる」という
主権国家の条件なのだ。
「事実上、米軍の強力な助力や抑止力によって
日本の領土を守ってもらうという構造」がおかしいと
ただその一点を佐伯先生は言いたいのだと思う。
そして確かにそうであるとは思うが、
武力行使による経済効果と戦災からの復興が
ある種の経済対策であった時代はもう来ないと思われる。
もし来たら、世界はほんとに終末までごろんごろんと
転がって行ってしまうかもしれない。
人を殺したくないという建前で
私たちはどこまで楯突けるのか。
安倍晋三の言葉が空虚なのは、
自分が人を殺すということを
想像できていないように思えるからだ。
新聞の整理が遅れると、
素材的に古くなって、現状に追いつかないこともある。
その分、冷静にもなれますが。