そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

遅い交通と健康医療都市

くまもとパレアで行われた、
熊本市の市政リレーシンポジウムに参加。
「公共交通を基軸とした多核連携のまちづくり」というテーマで、
昨年の9月から、熊本市の各区ごとに5回開催され、
今回がそのまとめの全体会だったようだ。

まず坂本正熊本学園大教授が、
それぞれの区で出された現状と課題について簡単に総括。
その後、羽藤英二東京大大学院教授による講演、
「遅い交通のかたちを考える」。
ヨーロッパやキューバでのまちづくりの実践例の紹介。
常に言われることだが、
公共交通の利便性を高めて利用者を増やすことは、
まちづくり、それも安心して歩けるまちづくりにつながる。
いや先進都市では、居場所づくりこそ、まちづくりであると認識している。
都市を機能で埋め尽くさないこと。
小さな「流動」を生み出す拠点こそ、交流の場となる。

公共交通は、市民みんなで育てるものである、とか
花に水をやるようにとか自分で言ってきたくせに、
どうして、そんなに手を掛けなければ維持できないのか。

厚生労働省の検証・試算によると、
1日あたりの平均歩数を、大人が3,000歩増やして1万歩にすると、
10年間にかかる医療費を1,569万円減らせるのだそうだ。
糖尿病、脳卒中心筋梗塞などにかかる国民医療費を
平均5.5%削減して、約2,700億円/年の節約になるそうだ。

公共交通を移動の手段に使うということには、
「歩く」という行為を伴う。
それをマイナスととらえずに、
積極的に健康増進に活用するという考え方もある。
それが「遅い交通」を推奨する一つの理由である、と。

高齢社会における健康医療都市。
なんかどこかで聞いたようなネーミングである。
公共交通と健康を結びつけるというのは、
これまでにあるようでなかったのではないか。

幸山政史熊本市長の発言にあったが、
花畑町再開発には、県内最大のバスターミナルである
熊本交通センターの建替えが含まれるし、
熊本駅周辺整備もまだ終わっていない。
それらは、公共交通における大ハードな部分。
そこに利用者目線がどれだけ取り入れられるか。


そのためにはやはり、利用者数という分子を
大きくしなければならないという堂々巡り。