そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

アメリカ


ファースト・エイド・キットという女性二人のユニットが、
サイモンとガーファンクルの「アメリカ」をカヴァーしていた。
それをポール・サイモンが会場で聞いているという、
すごい取り合わせだ。

ポール・サイモンは、アルコールを召されていたか、
感動に打ち震えてか、目が赤いし、
緊張して固まっているように見える。

松本隆さんの『風のくわるてつと』に
「終止符のばらあど」という章があり、こう始まる。

「『旅に出よう、アメリカを探すために』
ポール・サイモンは「アメリカ」という曲の一節でこう唱っている。
『グレイハウンド・バスに乗り込むとき、ぼくは言った。
サギナウからヒッチ・ハイクでまる4日、もうミシガンなんて夢みたいだ。
ぼくはアメリカを探してるんだ!」

それを読んだときから、「アメリカ」という曲は、
私にとっても特別なものになった。

また、そのバスは、もう一つの理由でまた特別である。
エルトン・ジョンの「ベイビーと僕のためのブルース」という曲が、
『ピアニストを撃つな』というアルバムに収められていて、
そこでは、駆け落ちした若い恋人たちが、
雨の中を走るグレイハウンド・バスの座席で揺られながら、
一抹の不安と共に、明日への夢を見るというドラマが描かれる。

アメリカを探すという象徴的なテーマは、
どこの国に住んでいても、自分の身に引き寄せることができる。
だから、スウェーデンの女性が歌っても違和感がない。
それどころか、作者自身に時を超えてセンセーションを与えた。

ナショナリズムをもっと自由に解き放とう。