6月12日の朝日新聞に、
集団的自衛権についての党首討論について、
「傍聴席から見た党首討論」として、
深澤真紀さんと、宇野常寛さんの意見が載っている。
両方とも全文を読んでもらった方が面白いのであるが、
特に宇野さんの文章に目を引くところがあった。
「海江田代表が語るべきは『安倍首相のプランでは
逆に日本の安全保障は危機に陥る。
わが党の安全保障ならばもっとことを
平和裏に進められる』という主張ではないでしょうか」
これはあくまで、党首討論についてである。
「どうも自分たちはリベラルだという自意識をもって
生きている人の多くが『自民党の宣伝戦略は
感情に訴えるものが主で、自分たちの戦略は
理知的であるがゆえに脆弱だ』と考えているように思えます。
実のところ逆ではないでしょうか」
「自民党は感情に訴えかける言葉と、具体案による理知的な
言葉を器用に使い分けている」と続くのだが、
具体案による理知的な言葉かどうかは別にして、
そう言われれば、確かに実に手慣れたものだ。
あくまで、これは党首討論における双方のことを言っているのだが、
リベラル側が「保守勢力は強権的で恐ろしい」という
印象操作で済むと思っているという指摘は、
胸に突き刺さるものがある。
そんなことを言ったって、
もともと興味のない人たちの注意を喚起することは
至難の業であるという現実を認めよ、
ということなのだ。
安倍首相は稚拙ながら具体論を語る。
それに対して、解釈改憲をめぐる手続き論や形式論で
対抗することは、主張は正しくても
戦術的に、まったく効果的ではない。
勉強になりました。