そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

延命策

2019(平成31)年1月16日熊日の論考2019、
社会学者の大澤真幸氏が書いていた。
2018年末に成立した改正入館難民法による外国人労働者
受け入れ拡大について氏が感じた2つの奇妙な点である。
第1に、どうしてネトウヨはこの法律にそれほど反対しないのか。
第2は、リベラルを自任する野党は、どうして消極的だったのか。
       (以下引用)
 ナショナリズムに頼るのは、抽象的な理念には、
人を動かす力がないからだ。大衆的な動員力をもっているのは
「私たちに固有」と感じられる文化や生活様式をめぐる具体的な経験である。
私たち流の生き方を順守する仲間との間に感じられる具体的な絆は、
人に安心感と甘い快楽を与える。
 が今日、その具体的な絆のもとになる「私たち固有の生活様式」こそ、
真に抽象的な観念である。それは、私たちの生活世界も、グローバルな
規模の金融的・情報的・社会的なネットワークの一部として、
その力学に規制されているという事実を覆い隠すスクリーンである。
それは幻想や夢であって、実在ではない。
この閉塞の夢を生きているのがネトウヨだ。彼らがネットのみで元気なのは、
守ろうとする絆が現実の中にはない、抽象的な観念だからだ。
 ただ、その幻想と現実とのギャップを埋めるには、敵を捏造しなくては
ならない。敵のせいで夢が実現できていない、と思うために。
敵に仕立てあげられたのが在日や中国である。資本主義が呼び込む
外国人の流れには無力である。そのナショナリズムは資本主義の現実から目を背ける夢なのだから。(引用ここまで)

あれから2年以上が過ぎ、新型コロナ禍が世界を襲い、
状況は大きく変わってしまった。
外国人労働者は、防疫体制により受け入れることができなくなり、
海外からの観光客の激減も経験した。それに今どき
ネトウヨ」なる呼び名は死語となり、概念だけが残った。