だいたい、この賞状よりも
応募原稿を残しておけよ、とは思う。
しかし、平成2年がどういう年だったかを物語る史料である。
テレビゲームなんかしないのに、
村上春樹の『ハードボイルド・ワンダーランド』を真似て、
当時人気絶頂だった宮沢りえ(富士通のCMにも出ていた)が
女子マラソンのアスリートになり、
レース中に公道で誘拐されるというストーリーを
書きあげたのだった。
締切に間に合わないので、清書もせずに
下書きのまま送ったのに、
応募者が少なかったのかもしれない。
入選賞品は、テレホンカード8枚組だった。
このことは、晴れ永遠のどこかに
既に書いていたと思う。
しかし、このときはまだ、
宮沢りえがマラソン選手役をやらない代わりに、
『サンタフェ』という写真集を出すとは、
予想だにしていなかった。