そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

全然模傚主義

夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』から。
「人間の用うる国語は全然模傚主義で伝習するものである。
彼等人間が母から、乳母から、他人から実用上の言語を
習う時には、ただ聞いた通りを繰り返すよりほかに
毛頭の野心はないのである。出来るだけの能力で
人真似をするのである。かように人真似から成立する国語が
十年二十年と立つうち、発音に自然と変化を生じてくるのは、
彼等に完全なる模傚の能力がないと云う事を証明している。
純粋の模傚はかくのごとく至難なものである」

神が人間の顔を千差万別に作り給うたのは、
神の全能的技倆だと人は考えがちであるが、
本当に神に全能があれば、人間の数にかかわらず
総て同じ顔に作ることができるのではないかと
猫の分際で解釈している(分際は私の個人的感想です)。