今日のNHKニュースで、一連の地震で大きな被害を受けた
熊本城の早期の復旧に向けて、
国や熊本市などの担当者が話し合う会議が開かれ、
天守閣の復旧に向けた工事を急ぐことを確認したと言っていた。
熊本市は復興のシンボルとして、
熊本城の天守閣を3年後の平成31年までに復旧したいとしている。
国からは異論が出たとは言っていないが、
文化庁の立場はかなり複雑だと思われる。
加藤理文著『日本から城が消える』(洋泉社歴史新書)では、
「熊本城の地震被害状況と未来」という項が特別収録されている。
熊本城は日本の城郭遺産として重要な城であり、
国民の財産である特別史跡ということが復旧の大前提になると
加藤氏は書いている。
「従来から、文化財の修復・復旧については、
しっかりとしたルールが示されている。それに沿って
粛々と進めていくことであろう。心の支柱だとか、
かつてない大震災であったとか、例外的規定を認めると、
今後このような状況で罹災した文化財にも大きな影響を
及ぼすことになろう」
そのためには、文化庁はリーダーシップを発揮すべきであると。
熊本市は、文化庁の意向を軽視して、観光資源としての利用を
優先したという過去がある。それほど昔の話ではない。
加藤氏の文章を読むと、熊本城の天守閣は木造での再建しか
あり得ないということになるが、どうなることだろう。
また、最も優先すべきは石垣の復元であるという説を
私も支持する。しかし、熊本市も市民も県民も、
熊本城を愛するあまり、日本の城郭遺産としての重要性を
忘れてしまうのである。
大西市長にはそのことを理解してもらいたいが。