そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

『家族を「する」家』8/27/2000

 厳密な意味で、センセーショナルという形容詞は、マスコミ受けを狙う衝撃的な表現を指すわけではない。それは、人の感情のひだに入りこみ、ジワリと効いてくる奥深い感動を呼び覚ますものであるはずだ。

 私が藤原智美を支持するのは、いたって単純な理由による。英国ロックの雄であった、ザ・フーのピート・タウンジェントと、アメリカのニュー・シネマの旗手だったロバート・アルトマンが自分のヒーローであると語ったインタビューを読んだからだ。
 
 なぜ、という疑問に答えてくれそうな情報は巷間あふれている。そういう時代に自分の考えを真剣に表明することは、ある意味で自分の底浅さを人目にさらすことにもなりかねない。
 それでも批判を覚悟で、何かを伝えねばならないという切実な思いに突き動かされて書かれた「家族についての書物」は一読に価する。これは事実である。それを真実とするには、読者が自分の言葉で考えることに始まるだろう。

コメント:熊本日日新聞読書欄「私の三つ星」不採用。ほとんど、標記の本について触れていない。結局、ヒーローが共通であることで、私自身を売り込んでいるのだった。文章を投稿するときの、自分の決意みたいなものを、どこかで書き残しておきたかったということでもある。