そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

ななつの夏

     ななつの夏

 私は息子に言う
 おまえのポケットには
 ななつの夏が入っているんだよ

  そら 熱ちーて ヤケドすったい

 おとうさんは夏を四十個も持っている
 とびきり暑いのや 心凍えた日々
 からっぽってのも あるにはあるけど
 一年に一個ずつ 大事に集めてきたんだ

  ヨンッジュッコも
  おとーさん すげーや

 息子よ そのひとつひとつが
 宝物(トレジャー)だと気づくには
 私には同じだけの年月が必要だった
 あと何回 夏を迎えられるだろう
 おまえ達に 土産(スヴェニール)を残しながら



Then and Now : これは、平成8年9月9日付熊本日日新聞「読者文芸」欄に掲載。
現在、詩の掲載はなくなっている。
長男が7歳のとき、一緒に風呂に入っていて思いついた。
かなりセンチで、いま読むと、笑ってしまう。まったく、若いというか、青いっていうか。
親の思いを受け取るには、同じようになが~い年月が必要だってことだよ。
それと、やっぱ生きてると、そういう時期を過ごすこともある、ということだろうか。