そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

マニフェストの呪縛

荒木義行合志市長の選挙マニフェストの中に
「夢やアイデアが語れるまちづくり」として、
6番目に「農業による雇用機会の創出」というのがある。
これらについては、あくまで夢やアイデアということで、
実施時期や予算については明記されていない。

しかし、7番目の「ドラえもんのような職員づくり」は
すでに言葉が一人歩きを始めており、
マニフェストの項目ではないと言うわけにも行かぬのだろう、
それらの「夢やアイデア」も進捗状況の中にはっきりと
取組状況として取り上げられている。

ところで、その「農業による雇用機会の創出」については、
状況説明によると、
「まずは合志市の認知度を高めるきっかけ」として、
アニメを活用することとなっている。

マニフェストでは当初、
「例えば『アニメ村』。
アニメ原画書きを業とする若い世代を受け入れる村を作り、
収入の足りない部分を農業でカバーする。
若い世代の夢と、新しい農業雇用形態を築く取り組みです」
となっていた。
あくまで「例えば」と断ってあるので、
その部分にこだわるべきではないかもしれないが、
マニフェストとして発表されているので、
そこに主眼はあると見ていいだろう。

アニメの製作はいまやCGだと思われる。
どういう作業が現実に行われているか詳しくないが、
元々長時間労働定収入の世界だった。
それを農業所得でカバーするというアイデア
私は夢よりも危惧を抱いていた。
個人でアニメーション作家を目指すのならともかく、
原画の下請けのような仕事では
とても兼業ができるような状況ではないということと、
どちらの仕事でも収入が抑えられるのではないかということだ。

それはともかく、いまやアニメによるまちづくりとして、
当初のマニフェストにおける文法と
違う方向へ進みつつあるような印象を受けるけれども、
それはそれで「稼げる市」が先に見えてくれば
結果オーライと言えるかもしれない。

ただそうなると、マニフェストマニフェストたる根拠が
崩れてしまわないだろうか。
どんどん発展していくことを見据えて
「夢」としたのだと言うこともできるかもしれないが、
それをマニフェストと呼ぶことは、もはやむずかしい。
予想もしなかった方向に進むのであれば、
その成果や達成度を測ることはできない。

とはいえ、現市政の進む方向は間違っていない。
荒木市長もリーダーシップを果していると思う。
スピード感については、感じる尺度の問題なので、
早いかそうでないかは立場によって見方が違うだろうけれど。

他の市ではどうかわからないが、
合志市において、マニフェストの呪縛は、
総合計画の存在によって解かれることになった。
つまりより具体性と実現性を持った政策へと昇華したと言える。
逆に言えば、それこそ総合計画の呪縛なのかもしれないが。