そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

映画「バトル・ロワイヤル」12/23/2000

 私は、人がたくさん死ぬ映画というのは好きではない。しかし、人生、生きることの最終到達点が死であることは誰でも同じである。
 中学生が殺し合いをするということだけに目を奪われて、この映画が描こうとしている現実を見誤ってしまう大人がいたら、その人は生きるということの厳しさを自らに問いかけたことのない人に違いない。
 自分が生き残るためになら、人を殺しても平気なのか。少なくともこの映画に出てくる中学生は、ほとんどがまともな精神を持ちあわせていたのだった。友を殺すことより自ら命を絶つことを選ぶ少年と少女。疑心暗鬼にかられ殺し合ってしまう少女たち。脱出するために力を合わせる少年たち。ひとりひとりが実体をもって描かれ、素晴らしく力のこもった映画であった。
 貧弱な政治や大人たちに向って、つきつけられたテーマを私は「愛と信頼」と見た。たとえ今それが得がたいものであるとしても。

コメント:熊日「私にも言わせて」不採用。熊日の担当者が変わると、私の偏向したテイストが通じなくなってしまった。女性にはわからない切実さが、男にはあると思う。今読み直しても、当時の深作欣二監督のこの映画に賭けた思いは変わらなく胸を打つ。自画自賛。