いい詞、いい曲なんだけど、サウンドにちょっと色気がないなと感じてた。『ロッキー・ホラー・ショー』なんて、しょぼさの極致のガレージ・バンドみたいな音なのに、もうあれ以外に考えられないもんね。
ところが、クレジットで音楽=加藤和彦というのを見て、私の評価はぐんと上がった。博多モンの映画に加藤和彦をかつぎ出すセンスと度量を私は買いたい。
思えば海援隊は、「節子への手紙」という曲で、恐れ多くもサディスティック・ミカ・バンドをバックに使ったという、あまり知られていないが、すごい経歴を持っている。
武田鉄矢の県庁職員という当り前すぎるキャスティングも、ハリソン・フォードがCIA職員をやるぐらい必然性があるところが、邦画にしては珍しいリアリティーだと思う。
後藤理沙は、歯並びのせいか、今どきの喋り方のせいか、可愛いには可愛いが、セリフがよく聞きとれなくて、この映画の大きな欠点になった。
Then and Now : 多分これは、熊本日日新聞「私にも言わせて」に送った別ヴァージョンだったと思う。改めて、この映画に惚れ込んだ自分が懐かしい。1回しか見てなくても、一期一会。フォーク・クルセイダーズの北山修さんは、現在九州大学の医学部教授。加藤和彦さんの起用は、そういう縁もあったかもしれないと思っている。フォークルについては、ちょっと誰にも負けない文章が、いつか書けると思っています。その筋が好きな人は、期待してください。