<週刊エコノミスト 4月21日号参照して下さい>
翻訳家 芝山幹郎さんが、シネマ館というコラムに書いている。
タイトルは「風俗の視点から映画を観る」で、取り上げるは、アカデミー賞で話題の『スラムドッグ$ミリオネア』だ。
「(監督の)ボイルは、手作りを急ぐあまり、登場人物や映像から、
本来そこに伴うべき陰翳を取り落としてしまったようだ。これは惜しい」
この場合の「手作り」は、いわゆる「ものづくり」などと言うときのそれではない。ポーカーなどのカードゲームで、札を揃えるようなことを指す。
私は、鋭い指摘だなと感心した。ただ、本作品を見ていない人には、ネガティブな評価を印象づけることでもある。
思い出したのは、『アメリカン・ビューティ』のことだ。
アカデミー賞も取ったし、それなりにヒットもしたが、芝山さんの言葉を借りれば、「映画の急所で、登場人物の言動や情景描写が類型化」していたという共通点があるような気がする。
『スラムドッグ$ミリオネア』を見ていなくて、大層なことを書いていることは認めます。
しかし、私は映画そのものの批評をしているのではなくて、批評する文章の表現するものを評価しているのです(笑)
小林信彦さんが、今回のア