そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

砂時計の森

砂時計の森
トマス・マン原作の映画『ベニスに死す』(1971年)を見たのは、淀川長治さんの日曜洋画劇場だったと思う。
淀川さんが、いつも引用していたのが砂時計の例えだ。
大意はこう。
「人生は砂時計の砂に似て、落ち始めたときは少しも減っていないようだが、
少なくなってくると、目に見えて速く落ちるように感じる」
30年前には頭ではわかっても、実感てものがなかったね。
ところで、この映画に出ていたビョルン・アンドレセン君、
今思えばそんなに美少年だろうか。
時代と共に変わる美の基準もある。
彼のデビューは『純愛物語』という映画の端役で、これに当時私は、
「100%ラブ・ストーリー」という翻訳をつけた。
村上春樹の『ノルウェイの森』が出たときの惹句が確か「100%の恋愛小説」だったので、
同じようなことを考える人がいるんだな、と思ってから早20年(笑)

写真は、砂時計を、じっと見つめる思いの方と早くひっくり返したい思いの方。

The sand of the sandglass is faster when it falls later.