そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

生まれたときが悪いのか、それとも

9月17日付の熊日夕刊「けいざい診断」、
国際基督教大学教授 八代尚宏さんの回。
「卒業3年以内の新卒扱い」について、

「新卒でなければ、企業の面接も受けられないのは
不公平である」と述べた後に、

「ただ、企業がなぜそうするのかという考察なしに、
単に企業への規制や補助金で対応するというのは
政府のアリバイづくりにしかならない」と続ける。

確かに、既卒者を採用する企業に補助金を出す政策は、
雇用戦略的にちょっとどうかなと思う。
しかし、「時間をかけて熟練労働者を育てる
日本の大企業では、新卒の一括採用が主流」であり、
法的に一度採用したら、なかなか解雇できないので、
「どんな仕事でもこなせる万能型社員を選ぶ必要がある」
ということと、新卒が採用条件であることの問題点は、
少し違う。

「生まれたときが悪いのか それとも俺が悪いのか」
とは、ブルーベルシンガーズの「昭和ブルース」の歌詞だ。
のちに俳優の天地茂(故人)さんが、ヒットさせたが、
その内情は、全然違う。
ベトナム戦争と、70年安保と学生運動
あの時代の若者の心情が歌われたものだったと記憶する。
かなり話は飛んでしまったが、
つまり、生まれた年が悪ければ、
新卒採用の網にかかり損ねたあげく、
それで一生を左右されかねないということが問題なので、
「卒業3年以内」とか、「補助金」とか
そういうその場しのぎの話で、お茶を濁すなと、
そういうことなのです。

八代教授は、労働市場改革論者であり、
労働者派遣推進の旗振り役でもあった。
「正社員以外の多様な働き方を『不安定雇用』として、
原則禁止する論理」で、多くの雇用機会が失われる、
という理屈は一面の真理である。

しかし、大企業で、
「(採用)候補者の学歴や性別などの客観的な情報が
事前の選別手段として用いられる。
新卒・既卒の差も、在学中に就職できなかったという
情報活用である」と断言されると、
ただ単に自分の論理の正当性を補強するためか、
本気でそう考えているのか、わからなくなる。

参考までに私の場合、卒業時、
きちんとした就職活動もしなかったドロップアウターだ。
現実には、内定をもらっていたとしても、
留年してしまったので、
さらにみじめな思いをしたかもしれないという見方と、
きちんと活動していたら、留年しないように頑張った、
と二つの見方がある。
いずれにせよ、長きに渡る、多くの人たちの支えがあって、
いまの私があるので、
人生捨てたものではないと思います。




Born in bad year?