昨年4~5月の緊急事態宣言時、外出がどれだけ抑制されたかを計測・分析した経済学者の渡辺努・東京大教授が
1月9日付毎日新聞電子版でインタビューに答えている。
感染拡大を食い止めるための有効な手段を問われ、
「リーダーのメッセージが非常に重要になってくるでしょう。過去の感染症に関する医学や経済学の研究で指摘されていますが、行動変容の源泉となるのは「恐怖心」と、自分が他人に感染させるのを避けたいという「利他心」です。若者の恐怖心が薄らいできたのは医学情報に基づいた現象で合理的であり、非難したり無理に怖がらせようとしたりするのは意味がありません。そこで若者に「利他心」をどれだけ持ってもらえるかがポイントになってきます。リーダーや政府が、利他心を呼び起こすメッセージを前面に出すべきだと思います」
わが国においては、実効性がかなり疑われるばかりでなく、
こういう貴重なアドバイスを元から一顧だにしない伝統がある。
つまり感染拡大を食い止めるための有効な手段の一つが
実行されないのだからもったいない話だが、
能力と意欲の問題なので、そういうリーダーや政府を許している私たちの責任でもある。
未来への分岐点
我ながら、丸々1年遅れている。
ブルーレイレコーダーの中に保存されているまだ見ていない
番組の中で一番古いものが、ちょうど昨年の正月のものだ。
NHKスペシャルで「未来への分岐点」ということで、
まず地球温暖化の危機が喫緊の課題であることをやっていた。
もちろん、と言っては何だが、新型コロナのことは出てこない。
まったく予想だにしていなかったということだ。
いま2021年を迎えて、コロナ禍が私たちを立ち止まらせる
きっかけになればと願うばかりだ。
続いて、世界の水の格差に移った。
この時点では日本政府が、2050年のカーボン・ニュートラルを
国民の前にはっきりと示すことなど思いも寄らなかった。
当然目指さなければいけないことなのだが、
安倍政権が憲法改正のように口に出すことはなかった。
公文書管理の監視強化
2018(平成30)年7月21日付熊日。
「公文書管理の監視強化」
政府は20日、公文書管理に関する閣僚会議を首相官邸で開き、学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざんなどを受けた再発防止策を決定した。
特定秘密保護法の運用状況を点検する内閣府の独立公文書管理監の権限を拡大し、各府省庁を常時監視するような体制を強化。
決裁後文書の修正は禁止し、改ざんなど悪質な事案には免職を含む重い処分を行う方針も打ち出した。
記事だけ読むと、きちんとやってるじゃないかと勘違いするが、もともと何がどう間違っていたのかの検証も反省もやっていないんじゃないのかという気がする。
「決裁後文書の修正は禁止し」なんてことは高校生にもわかる常識以前の問題なのに、改ざんなど悪質な事案には免職を含む重い処分を規定していなかったことがあり得ないと思う。