そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

一家揃って飯を食うこと

 私は昨年の暮れに失業して、ただいま求職中の身です。仕事を無くして良いことなどないはずなんですが、毎日、朝食夕食を家族四人で一緒に取れるようになったこと、これだけは何物にも替えがたく良かったと思えます。
 それまでも休日には、一緒だったのですが、これが毎日になると、学校であったことなど、とにかくその日のうちに話を聞けるし、私の方も時間だけは豊富にあるものですから、自分が学校に通っていた頃のことなど思い出して、口数が多くなっています。
 とはいえ、子供らもそれなりに成長しているので、私が言葉を選び損ねて無神経なことをつい言ってしまうと大変です。せっかくの楽しかった食事がぶち壊し、ということもありますが、ひるんではいられません。このどうしようもなさが、難しいところでもあるし、醍醐味でもあるかもしれません。押したり引いたり、おだてたり、うるさく言ったりしながら、ふと気づくと親の方が乗せられていたりもします。
 気持ちがうまく伝わらないもどかしさを、乱暴な言葉を吐き捨てることでしか表現できないのが、つらいところだよな、と内心同情してしまうものの、私も「理屈を言え」「納得できる言い訳をしろ」と育ててきた手前、あくまでしぶとくタフ・ネゴシエーター(ギリギリまで粘って自分に有利に交渉を持っていく人)として、それを楽しむ余裕は・・・残念ながら今のところありません。
                     (2/1/2003)

コメント:平成15年2月9日熊本日日新聞「おとこの目」に掲載された。これを読んだ友人、知人から「読者のひろば」で無職になっていたけれど、ほんとに失業してたんですねと、ずいぶん声をかけていただいた。その報告の意味もあって投稿したものだったので、本当にありがたいことだった。無職のくせに結構それを楽しんでいた時期でした。昨年の秋にある集まりでお会いした潮谷知事にも「心配していました」とお言葉を頂き、感激したことでした。