谷村新司や堀内孝雄が90歳ぐらいになっても歌い続けていたら、こんなふうかもしれないと思った。でも少し違う。それは大上段に構えた人生の歌なんかをソシアル・クラブの連中はうたわないからだろう。
老いを隠すことはできないが、青春そのものみたいなラブ・ソングを奏でるとき、まるで現役で、若い頃よりもずっと瑞々しいんではないかと思わせる。新曲なんていらない。誰かが作り、歌い継がれたレパートリーで十分なのだ。名手ライ・クーダーのスライド・ギターにして、クラブの面々の演奏には蛇足という感じ。
それでもやっぱり、ミュージシャンとして、どうしてもカタリたかったんだろうなって気持もよくわかる。ちなみに大学教授みたいに見える彼と私は、誕生日が同じである。
それから、キューバ音楽の魅力のひとつに掛け合いマンザイならぬ、掛け合いソングがあったこともよくわかりました。
Then and Now : 熊本日日新聞「私にも言わせて」不採用。この映画については、賛否両論あった。私も評判ほど面白いとは思わなかったが、本文に書いたように、何かしら見つけるものはある。ライ・クーダーについても誕生日の件があるので、不当に言われると可哀相になって...ブエナ・ビスタというのは、ディズニー映画の配給元の名前から取ったのか、そういう地名が元々あったのか、どちらでしょう。日本語で言えば「美しき天然」ですね。