そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

土曜の夜は僕の生きがい

 テレビ朝日系「土曜ワイド劇場」(土曜午後9時)が、放送開始から30年目に入ったそうだ。この枠が生まれた経緯は、私の記憶では、こうである。

 当時、スティーブン・スピルバーグという若者が、『激突!』というテレビ向け劇映画(テレビ・ムービー)を作ったところ、評判を取ったので、試しに劇場公開したら、思わぬ大ヒットとなった。テレビ向けでも、素晴らしい着想とよく練られた脚本があれば、映画でも儲かる!とテレビ局は色めいた。テレビ朝日は、東京キー局の中で「三強」に対して「一弱」と言われていたのだが、淀川長治さんの解説で安定的人気を誇る「日曜洋画劇場」という映画プログラムを持っていたことも関係あるかもしれない。
 
 それから30年、今や邦画はテレビ局の重要な収益源である。テレビの人気連続ドラマを映画化する「踊る大捜査線」のようなものもあるが、どちらかというと、映画をテレビで放映するときの権利を確保するためにかどうか、製作に資金的に参加するものが多い。
 このメリットは、自局の番組を映画の宣伝にばんばん使えるというものだ。映画がヒットすれば、関連商品の売り上げからもフィーが期待できる。セルもDVDになってからは単価的に売りやすくなった。作品によっては、こんなにいい商売はない。
 だけどその分、マーケティングが幅を利かせすぎて、テレビだか映画だか判らないような作品が増えてきちゃったような。

 まあ、ある程度お金をかけないと面白いものは作れないとわかったのはいいんだけど、その投資額を回収するためには、メディアを総動員するということが当たり前になった。嫌な世の中だ。って、もう元には戻れないのだろう。
 一発外せば、製作会社がつぶれるというのは、社会的には容認できないかもしれないけど、そのくらいの伸るか反るかの大冒険があって初めて面白い作品が作れるんじゃないのか、と最近映画をちっとも見てないのに、そういうことばかりは書ける私です。

「土曜ワイド劇場」に関して言えば、最初の高邁な理想に視聴率がついていかず、何かというと入浴シーンやベッドシーンが出て来た頃の低俗さが懐かしい。しかし、いまちょっと調べたら、『激突!』の公開は73年。77年7月に同番組は始まったらしいので、4年間のブランクは世の中のスピードがまだまだゆるかったということなのかな。

 ともかく、純粋にテレビドラマに徹している現在の「土曜ワイド」の潔さは、見習うところが多いかもしれない。私は見てませんが。