そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

誰かが風の中で>2/27/2007・k324

どこかで誰かが書いていた。
篠原涼子演ずる大前春子は、木枯し紋次郎であると。
先週の回で、いつもの店で彼女が傾けるワインのボトルに
「MONJIRO」のラベル。この遊び心。

労働市場の自由化というか、不況時の企業生存競争の結果と言うべきか、
今や派遣社員抜きでは日本経済が成り立たない。
そういう時代の象徴である女性が出てくるドラマがなかったわけではない。
この番組についても、派遣の女性たちにエールを送っている、
元気をもらったという人もいれば、実態がわかっていない、描かれていないという
相反する意見があるが、私はどちらかと言えば前者である。

特殊技能・資格をいくつも持って、
時給3000円の派遣社員がいるという設定自体が超現実的な、
たかがコメディードラマではないですか。
肩の力を抜いて楽しむ余裕がほしい。

小泉孝太郎大泉洋(名前がすでに名コンビ)の2人は、
主役にしてはちょっと線が細いが逆に憎めない。
彼らの良い所は、自分に正直なところだ。
会社のためというより、自分が生き残ることに執心するのは当たり前のことだ。
ただ何ものにもとらわれず、職務に忠実なだけのヒロイン大前を見ていると、
言い知れぬ不安が心をよぎるのだ。
足もとを脅かされるというか、間違っているのはひょっとしたら、
自分たち正社員と呼ばれる人種なのかもしれない。
だが、日本のテレビドラマは3ヶ月で終わるから、
何でもありなんだよと言いたげなのは脚本家の中園ミホなのではなかろうか。

加藤あいのイノセントぶりは嫌みではない。
しかし、松方弘樹小松政夫の存在感が今ひとつ希薄なのは
全体のバランスからすると仕方ないか。
だが、何と言っても一番の引っかかりは篠原涼子である。
悪くはないんだけれど、サムシングに欠ける。
なかなかむずかしいものである。

Then and Now:いま気づいた。
木枯し紋次郎の主題歌に「お前は待っていてくれる」という歌詞が確かあったな。
おそらく、大前春子の名字はこの「お前」から来ているのだろう。
そして春だ。なんと心憎い。
でもそうすると、婉曲にauに導いていないか?
この文章は、(フジ系)テレビ熊本のモニター募集のために書いた。
のだが、この番組、(日テレ系)熊本県民テレビだったのよねえ。