「自分が何をやりたいかじゃなくて、
お客さんが、自分に求めているものをやる」
正確ではないかもしれないが、
三谷幸喜はそう言い放った。
昨夜、NHK総合の「プロフェッショナル」は、
三谷幸喜の流儀というか、
創作の秘密に迫るという番組だった。
特段の秘密がそこにあるわけではない。
頭の中を見ることができるわけではないからだ。
ただ、脚本が実際の役者のリハーサルを見ながら、
どんどん変更されていくところが、
彼のやり方だということだ。
それは脚本家ではなく、すでに演出家の仕事だ。
だから両方自分でやるんだろう。
昨日の現場取材では、
何よりも鈴木京香が素晴らしかった。
これが女優だって思った。
山の中を走るのを長回しで追われながらも
美しさに乱れがない。
「制限を加える」や
「自分を追い込む」は、
クリエイティブな仕事をやる人なら、
多かれ少なかれ、誰でもそうなんじゃないかな。
自由にやっていいよ、と言われるくらい
大変なことはないと思う。
だから、すべてを任せてもらって、
その上で、自分の想像力にタガをはめるわけだ。
彼なりに、自分が時代に合わなくなってきているかもしれないと、
ちょっとは思っている。と言っているが、
それは最初に書いた彼の言葉に
戻っていくことになる。
そうは見えないけれど、
良くも悪くも型にはまった人なのかもしれない。
だからこそ、それを少しだけずらして見せるとき、
笑いが生まれるのだ。