そうムーチョだから

イカしたタイトルを思いつくまで。

公聴会

本日、市民会館崇城大学市民ホールで開かれた、
乗合バス事業者の運賃改定申請事案に係る「説明及び意見を聴く会」
に参加しましたが、意見陳述を申し込んだのは、
私一人でした。
平成22年3月閣議決定された消費者基本計画が、
昨年7月に一部改定されて、
「公共料金等の決定過程で開催される公聴会や審議会における
消費者参加の実質的な確保」に取り組むこととされたからです。
そして、今回の公聴会は、その改定後初めての開催だということ。
以下、私が用意した原稿です。

   ――*――*――

合志市から参りました上田欣也と申します。

今回のバス運賃値上げ申請につきまして、
ただいまご説明を受けたわけでありますが、
この件について利用者としての意見を述べさせていただきます。

前回の改定から、かなりの年月が過ぎておりますので、
その間、事業者のみなさまには、利用者の減少にもかかわらず、
経営努力で貴重なバス路線と、乗客を安全に運ぶという
社会的な使命を果たして来られたことに感謝いたします。

ただ、そのような中で、利用者の少ない路線は廃止され、
残された路線でも便数を減らされたところもあるでしょう。
私は以前から、バス事業者のみなさんは、
現在の利用者しか念頭にないのではないか
という印象を持っております。言い方を変えれば、
バスを使わざるを得ない人しかバスを使ってはくれない
という現実に甘んじているのではないでしょうか。

そういう意味では、今回のバス運賃値上げが実施されたとしても、
バスを使う人は極端には減らないであろうと私は思います。
事業者の方も、おそらくそう考えていらっしゃることでしょう。

今回乗客数に極端な減少が見られなければ、
次が何年後かは分かりませんが、
次回の値上げはかなりやりやすいのではないかと思われます。
それは、いまのところバス事業は、
バスを使わざるを得ない人たちのための足だからです。

毎年、公共交通機関の利用促進のためのキャンペーンが
行われていますが、残念ながら、
それによってバスの乗客が増えたということはないと思います。
バスを使わなくても済んでいる人は、
キャンペーンに興味がないし、気づいてもいないでしょう。

高齢者が増えると、
自家用車からバスにシフトする人が増えるという予測もありますが、
私はそうは思いません。
車を運転する人の年齢がどんどん上がるばかりで、
病気やけがで、もし運転ができなくなれば、
もうその人は家から出なくなるというだけではないでしょうか。

それに対して、子どもの数は確実に減って行くので、
通学や遊びに行くときにバスを使う若い人はさらに少なくなり、
おそらくバスの利用者が反転増加することはないと思われます。

ただ、経費増をどこまでも運賃に転嫁はできないので、
将来的にはバス路線をどんどん切り詰めて、
数少ない黒字路線しか残らなくなるでしょう。

みなさん、新たな顧客を獲得することをあきらめてはいませんか。
新しい顧客を獲得するために、
いったいどういう方法を実践されましたか。
新たな顧客を捕まえなければ、バス事業者は運賃改定どころか、
事業の存続がむずかしいです。

普段、バスに乗り慣れていない人は、
運賃がいくらでどう払うかもわからないので、
それが気になり、バスに乗ることが億劫になるのです。
バス初心者を温かく迎えるおもてなしについて、
社内で議論したことがありますか。

ビジネスや観光で訪れた県外のお客様が、
何の予備知識もなく、路線バスを使えると思いますか。
まったく改善がなされていないとは言いませんが、
今でもバス停に立つと、ため息しか出ません。

自家用車通勤から、バスにシフトしてもらうために、
会社訪問をして、定期券や路線について説明をするとか、
住宅地の自治会や、戸別訪問をするとか、
そういうどぶ板的営業をしてまで、
新規利用者の獲得をする気があるのかどうかを、
今回の運賃値上げに際して、事業者のみなさんに問いたいと思います。

新規開拓のヒアリングをする中で、
新たな路線や時間帯の必要性が明らかになるかもしれません。
ブレーキを踏んだままでは、
安全かもしれませんが、前には進みません。
この機会に、じわりとアクセルを踏んでいただき、
事業を発展させていただきたいと思います。